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教育基本法第2条1項で定められる教育の目標には、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」とあります。この豊かな情操を育むことを「情操教育」といいます。情操とは、優れたものや美しいものなどを見たり触れたりした際に感動する心のことです。

具体的にどのようなはたらきかけが情操教育に役立つのか、はっきりと分かる保護者はそれほど多くないかもしれません。

今回は、情操教育の特徴やメリット、始める時期、幼児期~小学校低学年における家庭での取り入れ方などについて詳しく解説します。

情操教育とは

情操教育とは、次に区分される「情操」を育む教育のことです。

・知的情操教育
……知的好奇心を刺激することで学びの姿勢を育てる。

・道徳的(倫理的)情操
……人との関わりの中で物事の善悪を判断する力を養う。

・美的(芸術的)情操
……豊かな感情によって想像力や創造性を養う

・宗教的情操
……人間の力を超えた物事の本質や原理に対する態度を育む

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)「情操教育

日本は諸外国と比べて宗教や伝統文化に対する関心が弱い傾向があるといわれており、情操教育の発展が求められてきました。

情操教育はいつから始めるのがよい?

幼児期に受けた影響は人格形成に大きく関わるといわれています。この時期に情操教育を始めることで、情操が豊かな子どもへ育ちやすくなるでしょう。情操教育を始める時期に遅すぎるということはありません。

幼児期に家庭でできる情操教育の方法

情操教育は、家庭で無意識に行っているはずです。情操教育をより意識して取り組むと、子どもの情操を育むことができるでしょう。幼児期に家庭でできる情操教育の例を紹介します。

自然と触れ合う

自然の中で生き物や植物との触れ合いを通じて、命の大切さを学ぶことができます。川に入ったり土に触れたりして五感で自然を感じることが大切です。一緒に特定の虫を探したり育てたりするのもよいでしょう。

絵画制作・工作

お絵かきや粘土遊びなどは想像力を育むとともに、指先の細かな作業によって脳に刺激を与えることができます。さまざまな色の鉛筆や絵の具、素材を使用すると、情操を一層育むことができるでしょう。

絵本の読み聞かせ

絵本を自分で読めるようになってからも、保護者の方が読み聞かせてあげるとよいでしょう。自分で読むよりも、大人が読み聞かせてあげた方が場面を想像しやすく、情操を育めるといわれています。また、読み聞かせる際に「この人は何を考えていると思う?」「あなたなら、こういうときどうする?」などと質問することも効果的でしょう。

音楽に触れる

楽器に触れたり童謡を歌ったりすることも情操教育の1つです。また、ダンスや手遊びなど、音楽に合わせて身体を動かす取り組みも、楽しみながら情操を育むことができます。情操を育むための音楽に決まった形はないため、子どもが興味を示すのであれば童謡以外の音楽も積極的に聴かせるとよいでしょう。

子ども同士のコミュニケーションを増やす

子ども同士でコミュニケーションをとると、思いやりの心や協調性を育むことができます。また、他の子どもの良い部分を見習ったり、ときには競争したりすることも大切です。

行事を大切にする

行事について調べて家庭に取り入れるのも1つの方法です。節句やお盆、元旦、クリスマス、お花見、紅葉狩りなど、季節折々の行事を楽しむとよいでしょう。

学校で行われる情操教育の例

情操教育は、小学校入学後にも学校の授業を通じて受けることができます。小学校では、次のような学習・作業を通じて情操を育成しています。

・砂遊び
・自然に触れる
・絵画制作、工作
・楽器の演奏、歌唱
・料理
・鬼ごっこや縄跳びなどの運動
・絵本の読み聞かせ

体育や図工、音楽、道徳などの授業は、どれも情操教育の一環として行われています。

情操教育を意識して子どもとコミュニケーションを取ろう

幼児期に受けた影響は、人格形成に大きく関わるといわれています。この時期に情操教育を始めることで、情操豊かな大人へと育つでしょう。子どもの情操を育みたいと思う場合は、絵本の読み聞かせや工作など、子どもとのコミュニケーションにおいて、情操教育をより意識してみることをおすすめします。

執筆者:加藤良大