幼児期にリトミック教育を取り入れると良いと聞き、具体的な方法を知りたいという方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、リトミック教育の目的、幼児期から始めるメリット・デメリット、方法などについて詳しく解説します。
リトミック教育とは、音楽に触れ合うことで子どもの潜在的な基礎能力の発達を促す教育方法です。リトミック教育の目的や歴史について詳しくみていきましょう。
リトミックの目的は、音楽的能力を高めつつ、表現力、集中力、思考力、判断力、創造力といった潜在的な基礎能力の発育を促すことです。従来の教育で重視されている知識・技能を習得するには、子どもが元々持っている基礎能力が欠かせません。
リトミック教育では、潜在的な基礎能力の発育を促すことによる総合的な人間教育を行います。現在は、欧米各国において幼児教育だけではなく芸術や演劇、体操などの分野にも影響を与えています。
リトミック教育は、20世紀初頭の作曲家・音楽教育家の「エミール・ジャック=ダルクローズ博士」が考案したものです。最初は、音楽を感じる能力や音楽について考える能力を伸ばす教育システムとして考案しましたが、後に基礎能力の発育にも役立つことに気づき、現在のリトミック教育が確立されました。
日本では、明治時代から教育家や音楽家などがヨーロッパでリトミック教育を学び、各々の分野に取り入れました。そして、戦後間もなく、リトミック教育を学んだ板野平氏が国立音楽大学の専門課程で教鞭をとったことをきっかけに、本格的に広がり始めたのです。
幼児期からリトミック教育を取り入れることには次のメリットがあります。
さまざまな音楽に触れて身体を動かしたり、音の高低・強弱を聞いたりすると、音楽の感覚が身につきやすくなります。4拍子や3拍子、Aメロ・Bメロ・サビといった音楽の起伏など、一歩踏み込んだ音楽知識の習得も期待できるでしょう。
音楽に合わせて走る・跳ぶ・スキップといった運動をすることで、運動能力の向上が期待できます。子どもとしても、音楽と運動を絡めた方が楽しみやすいでしょう。
リトミック教育で育むことができる基礎能力には、集中力や判断力、創造力などがあります。中でも集中力や判断力は、勉強や趣味、仕事など、さまざまな場面で役立つ能力です。このような子どもの生活や勉強などに役立つ能力を幼児期から高められることは、大きなメリットでしょう。
リトミック教育は、結果を数値化できるものではないため、実際に基礎能力の発達につながっているのかを確認することができません。子どもが楽しそうに取り組んでいるか、以前よりも表現力や集中力、判断力、創造力などが向上しているように感じるかどうかに注目しましょう。
リトミック教育は、ダンスや遊戯のように決まった動きを記憶して実行するのではなく、音楽に合わせて自身で判断して身体を動かします。「感じ取る→考える→行動する」の一連の流れを感覚でつかみ取れるような音楽遊びを家庭に取り入れましょう。
リトミック教育の例を3つ紹介します。
手遊び歌は、音楽に合わせて手や指を動かす遊びです。幼児に聞かせる音楽といえば童謡をイメージするかもしれませんが、保護者が知っている曲で問題ありません。音楽のジャンルや年代ではなく、音楽に合わせて手や指をたくさん動かして楽しむことが大切です。
音楽に合わせて身体を動かし、音楽が止まったら動きも止める。ということを繰り返します。難易度を少しずつ上げるのも良いでしょう。
大きな音や高い音を鳴らしたら手をあげて、小さい音や低い音を鳴らしたら手を下げるなど、音楽の感覚を養う方法もあります。音の強弱・高低の概念を理解できれば、音楽の知識・技術を習得しやすくなるでしょう。
リトミック教育を取り入れることで、音楽の能力だけではなく判断力、創造力、集中力といった基礎能力の発育を促せます。基礎能力を高めることで、小学生になってからも学習がスムーズに進むでしょう。