ごっこ遊び(ままごと)は、子どもの感性や表現力を育むために大切な遊びです。年齢を重ねるにつれてごっこ遊びの方法も変わっていくため、保護者も子どもの成長に合わせて遊び方を変える必要があります。そこで今回は、ごっこ遊びで学べることや年齢ごとの遊び方などについて詳しく解説します。なお、本記事では3歳ごろまでのごっこ遊びに焦点を当てています。
ごっこ遊びでは、言葉や表現方法、歩き方、考え方など、生きるうえで必要とされることを幅広く学習できます。子どもは自然に育っていくものではありますが、何も教えていないつもりでも、子どもは周りの人の動きをよく見て学んでいます。
例えば、子どもに「あそこに行きましょう」と言うよりも、実際にその場所へ大人が行くことで、子どもも行くようになるでしょう。このように、子どもは言葉での指示を理解する前段階として、動きを理解し模倣するのです。
ごっこ遊び(ままごと)の方法は、1歳前後と3歳ごろに大きく変化します。それぞれのごっこ遊びの特徴について詳しくみていきましょう。
1歳前後の子どもは、周りの人の一連の動作を模倣します。例えば、ぬいぐるみに哺乳瓶でミルクを飲ませたり、野菜を切る真似をしたりします。これを「モデリングタイプのままごと」といい、この時期の子どもは周りの人の動きを積極的に真似することが特徴です。
見本を見せるととても喜ぶため、積極的に見せてあげましょう。また、電車やバスが走っているのを見て、電車やバスのおもちゃを動かしたり、駅・停留所で停車させたりすることもあります。積極的に外出して、さまざまなものを見せてあげることをおすすめします。
3歳ごろになると、作業の模倣ではなく「役割」を真似する「ロールプレイタイプ」へと切り替わります。例えば、これまでは「野菜を切る真似」という作業の模倣だったのが、「野菜を切って鍋で煮込み、カレールーを入れてカレーライスを作る」といった一連の動作の模倣になります。これは、カレーライスを作っている大人の役割を真似しているためです。
また、真似できる作業を教えてくれる人ではなく、自分とは異なる役割を持って一緒に遊んでくれる人を求めます。例えば、子どもがカレーライスを作る役割であれば、周りの大人はカレーライスを作る役をするとよいでしょう。
子どもの成長を促す「ごっこ遊び」を実現するために、次のポイントを押さえましょう。
ごっこ遊びには、子どもに教えたいことを取り入れましょう。例えば、食器を片付ける習慣を身につけてほしい場合は、おもちゃの食器を片付ける姿を子どもに見てもらいます。そうすると、おもちゃの食器を片付けるようになったり、本物の食器もシンクへ持って行こうとしたりするようになる場合があるのです。
ただし、子どもが嫌がることを無理に真似させようとしてはいけません。子どもの反応を見ながら楽しめるごっこ遊びをしましょう。
子ども同士でごっこ遊びをしているときは、なるべく大人は介入しない方がよいでしょう。子どもが一緒に解決法を考えたり新たな遊びを見つけたりする中に大人が入ると、子どもの成長機会を奪うことになりかねません。怪我をしないように見守りつつ、子どもたちを助けられる距離で見守ることが大切です。
子どもに知識を与える目的でごっこ遊びをしがちですが、創造力や表現力などを育てる意識を持つことが大切です。機械的に大人の行動を真似させようとするのではなく、子どもの意思を尊重し、自由に楽しませてあげましょう。
ごっこ遊びの目的には、大人の行動を真似して学習するだけではなく、感性を育むことも含まれています。ごっこ遊びを通じて子どもの感性を育てましょう。
執筆者:加藤良大