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ことばパークの豊富なノウハウをコラムでおとどけ ことばパークの豊富なノウハウをコラムでおとどけ

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子どもの絵本はどのような本を選べば良いか、悩まれる保護者も多いのではないでしょうか。他の子がどのような本を読んでいるかを聞いて「うちの子よりもレベルの高い本を読んでいる」と不安に思ってしまう方もいらっしゃるようです。

でも、焦らないで大丈夫です。子どもは一人ひとり、成長の時期も好みも異なります。お子さんに合った本を、その時期の子どもを一番知っている保護者がしっかり検討して選んであげるのが良いでしょう。

今回は、絵本の読み聞かせがもたらす効果、そして年齢別におすすめの絵本の選び方について解説します。

絵本の読み聞かせがもたらす効果

絵本の読み聞かせにはどのような効果があるのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所の調査によると、以下のような結果が示されています。

””

・幼児期の読み聞かせの頻度が高いほど、児童期のひとり読みの頻度が高まる
・小学 4 年生以降のひとり読みの頻度の高さは、言葉のスキルや論理性の獲得に影響を与える
・幼児期の読み聞かせで双方向のやりとりに時間をかけているほど、児童期にも本について保護者と話し合ったり、感想を述べ合ったりするという読書体験を共有する時間が長くなり、論理性や言葉のスキルの獲得に影響を与える

””

読み聞かせは、ものごとを論理立てて考える力、言葉を使う力を鍛えるのに効果があるということですね。耳や目で保護者の声を聴いたり本を見たり、声や指差しなどでお子さん自身の気持ちや考えを伝えようとすることを通じて、言葉を使いこなすトレーニングを積んでいきます。

また、ただ読むだけでなく、読み聞かせのあとに本の内容について保護者とコミュニケーションを取ることで、その効果はさらに高まります。

読み聞かせが少なくなる時期についても、それまで読み聞かせをどのくらいおこなってきたかは、ひとり読みをどのくらいするかに関わってきます。つまり、読み聞かせをすることは「読み聞かせをしたときにお子さんが成長する」というだけでなく、「その後の読書習慣を作る」という効果もありそうです。

年齢別の絵本の選び方のポイント

ここからは、年齢別に絵本の選び方のポイントについて解説します。

0歳児向け絵本の選び方

0歳児向けの絵本選びのポイントは、まずは「音」です。

家庭学習応援サイトマナビスタによると

””生後0か月~4か月のねんね期は視力がまだまだ未発達。一方、耳は大人よりもいろいろな音を聞き分ける能力が備わっており、ここから周りの大人が話す言葉を通じて、母国語の響きを学んでいくといわれています。””

とあります。

また、モノコレ絵本おすすめ18選 0~3歳向けの人気ランキング【300人のパパ&ママに調査】によると

””赤ちゃんの視力は、未発達。3~4カ月ごろで視力が0.01くらい。5~6カ月くらいでようやく0.05~0.06くらいで色の濃いものを認識しだします。1歳手前くらいで、0.1~0.2くらいに。””

とあります。

赤ちゃんはまだ視力が十分に発達していませんが、聴力はそれよりずっと早くに発達します。おなかの中でも28週を過ぎると、既にママやパパの声は聞こえているといわれているくらいです。

そのため、月齢の低い赤ちゃんには、まず耳で音の響きを楽しめるような絵本を選んであげましょう。「オノマトペ」のようなリズミカルな音の本、「ぶっぶー」や「ざぶざぶ」など、濁音や破裂音を楽しめる本がおすすめです。

月齢が高くなり、視力が発達してきたら音に加えて「色・形」を楽しめる絵本を選んであげましょう。ただ、発達してきたといってもまだ文字を読んだり、細かい絵を識別するのが難しかったりする子も多いでしょう。まずは、色彩がはっきりしている本、大きくて形がわかりやすい図形が描かれている本が良いでしょう。

1歳児向け絵本の選び方

1歳になる時期は、歩けるようになる、食べられるものが増える、言葉を話しはじめる子もいるなど、世界が一気に広がってきます。

このような時期には、日常で知ったこと、身につけたことの登場する絵本を選んであげるのがおすすめです。りんごやバナナなどのくだもの、「ありがとう」や「いただきます」などのあいさつ、ねこやいぬといった動物など、なんでも大丈夫です。知っているものが絵本に出てくると大喜びする子は多いですし、保護者とコミュニケーションをとることで言葉の練習になりますね。また「りんごのイラストとりんごの写真、どちらも『りんご』とママは言っているな」といった経験から、類似点を見つけ同じものであると認識する訓練にもなります。

行動とともに広がった世界と絵本の中の世界をリンクさせてあげながら、好奇心を刺激してあげると良いですね。

2歳児向け絵本の選び方

2歳になると、さらにできることが増えるとともに「やりたい」という気持ちが高まってくる子も多いです。

この時期には、お子さんの活動を連想させる絵本がおすすめです。「ハミガキをする」「乗り物に乗る」「お外を探検する」といったシーンの出てくる本ですね。「これをしてみたい」というお子さんの気持ちを刺激してあげると同時に、実際の行動と絵本の内容を結び付けることで物事の理解を促してあげてください。

ある程度のストーリーのある本も理解できるようになる時期ですので、お子さんの成長に応じてボリュームも調整してあげましょう。

また、好みや関心の違いも出てきます。テントウムシが好きな子、バナナが好きな子、電車が好きな子、本当にさまざまです。お子さんが興味のあるものを題材にした本を選んであげられると良いですね。

そして、保護者が選ぶだけでなく、お子さんと一緒に本屋さんで探しながら「どの本がいい?」と聞いてみるのもおすすめです。「自分で考えて、選ぶ」というのも、本に愛着と関心を持つための手段としてはとても有効です。

3歳・4歳児向け絵本の選び方

3歳を過ぎてくると、言葉の幅が広がり、ある程度長いストーリーを追う力もついてきます。そしてこの頃には、話を予想することを楽しんだり、逆に「ストーリーが予想と違うこと」を楽しみ笑ったりできる子も増えてきます。

これまでと変わらず、お子さん本人の興味のあるテーマを重視して絵本を選んであげましょう。そして読書に慣れてきている子であれば、よりボリュームがあるものや、ストーリーがやや予想外の展開である絵本なども取り入れていくのも良いでしょう。

また、他の子との関わりも増え、他の子の視点や考え方といったものに触れる機会も多くなる時期でもあります。主人公の年齢がお子さんに近いもの、舞台が身近なものなど、自分を物語に重ね合わせやすい作品も良いかもしれません。

読み聞かせする時には「どうなると思う?」と話を予想してもらったり、「こんな時はどうする?」と自分に置き換えて気持ちを聞いてみたりするなど、「聞く」以外のアクションを積極的に促してあげてください。

5歳児向け絵本の選び方

5歳になると、自分で文字が読める子も出てきます。これまでより複雑な構成の絵本や、本が伝えたいことを理解できる子も出てくるでしょう。保護者が「このような考えを知ってほしい」といった形で、メッセージのこもった作品を選んであげるのも良いかもしれません。

また、これまでの読書経験から想像力が育まれ、舞台が日常離れしたものでも十分に楽しめるようになっている子もいることでしょう。ストーリーの長い童話や、海外・ファンタジーの世界を舞台にした物語など、お子さんの想像力と好奇心をかき立ててあげられるような絵本を選んであげると良いですね。

ただ、お子さんの好みも強くなってきている時期ですので、無理強いは禁物です。お子さんの「読みたい」という気持ちを尊重しながら、お子さんに合った本をすすめてあげてください。

6歳~小学校低学年のお子さん向け絵本の選び方

この頃には、かなり長い文章でも読むことができる力がついてきている子も多いでしょう。一度に読み切ることができる絵本だけではなく、何日かに分けて少しずつ読み進めるようなボリュームのある作品もおすすめです。いくつかの章に分かれているのも良いですね。

「今日読んだ続き、どうなるかな」と少し時間を空けながら考えることで、想像力が育まれるでしょう。続きを楽しみにしながら眠り、翌日また読み進める体験は、本をより好きになる気持ちを大きくしてくれることが期待できます。

また、この時期になるとお子さんによって、本への慣れ・読むことへの得手不得手の差が大きくなっているかもしれません。もしお子さんが読むのが苦手でも、焦ることはありません。短い絵本でも大丈夫ですし、一句一語ゆっくり、一緒に読み進める形でも良いのです。無理をせず、お子さんの発達状況や得手不得手に合った本を選び、お子さんに合った形で取り組ませてあげてください。

まとめ

子どもは年齢ごとに、発達も興味も変わっていきます。そのため、本を選ぶ前にお子さんが「何ができるようになって」「何に興味を示し」「何を楽しんでいるか」をしっかり理解することが大切です。小さいころは保護者が様子を観察して、少し大きくなったらお子さん自身に聞いてみたりもしながら、読み聞かせする本を選んであげると良いですね。

読むだけでなく、「どれが好き?」とお子さんに問いかけをしてみたり、何かできるようになったら「すごいね!」と、できるようになったことをしっかり認識させてあげたりするのがおすすめです。お子さんはより本を楽しみ、好奇心もぐんぐん伸ばしていけるでしょう。

ことばパークは講師とのやりとりを通じ、お子さまの「学びたい」という気持ちを引き出しながら聞く力・話す力・読む力をバランス良く伸ばしていける、小学生以上のお子さま向けのオンラインレッスンです。お子さまの学習意欲と学力を伸ばしたいとお考えの保護者は、ことばパークをぜひご検討ください。

執筆者:杉本啓太

参考サイト:

マナビスタ様 年齢別オススメ絵本コラム

0歳から読み聞かせを始めよう! 赤ちゃんの月齢別オススメ絵本8選

https://www.gakken.co.jp/homestudy-support/forkids/picture-book/9865

2歳から絵本を読み聞かせよう! 一度は読みたいオススメ絵本5選

https://www.gakken.co.jp/homestudy-support/forkids/picture-book/9867

3歳にぴったりの絵本とは? 想像力&集中力を育む読み聞かせのコツ

https://www.gakken.co.jp/homestudy-support/forkids/8741

4歳向け絵本の選び方とは? 子どもが夢中になるオススメ絵本5選https://www.gakken.co.jp/homestudy-support/forkids/picture-book/12486/

子どもが楽しめる本24選! 読書好きに育てるコツや本選びのポイントも解説

https://www.gakken.co.jp/homestudy-support/forkids/15599

6歳に読ませたい絵本オススメ12選! 子どもが自ら読みたくなる工夫

https://www.gakken.co.jp/homestudy-support/forkids/picture-book/21456

読み聞かせの実態と言葉の発達

ベネッセ教育総合研究所「幼児期の家庭教育調査」(2018)

https://berd.benesse.jp/up_images/magazine/KORE_2019_spring_data.pdf

絵本の読み聞かせがその後の人生に及ぼす影響

https://core.ac.uk/download/pdf/236641413.pdf

絵本のおすすめ61選【年齢別0~5歳】読み聞かせにぴったりの人気ベストセラーも!

https://osusume.mynavi.jp/articles/10518

絵本おすすめ18選|0~3歳向けの人気ランキング【300人のパパ&ママに調査】

https://www.cyberowl.co.jp/monoreco/22161400011124

子どもの年齢に合う絵本の選び方。選ぶときのポイントや読み聞かせのコツ

https://www.hoikushibank.com/column/post_1710

絵本の選び方は年齢と成長過程で変わる!【年齢別】選び方のポイント

https://yuh-tmama.com/how-to-choose-a-picture-book

音読がたどたどしい原因は?【もっと楽にできる対処法3選】

https://defourunity.com/reading-aloud-poor

絵本の選び方ガイド

https://www.fukuinkan.co.jp/bookguide