学校の宿題でよく出される「日記」、苦手な子も多いのではないでしょうか。「とにかく無理やりにでも書かなければ」と悩んでしまっているという声もよく聞きます。
算数の宿題のように正解がないので、保護者も「何を求められているのかわからない」とどうサポートしたら良いか困ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
今回はまず、小学校の宿題で出される「日記」の狙いが何かを解説します。そして、お子さんが日記に取り組むときのコツを紹介します。
学校の宿題として日記が出されるのはなぜなのでしょうか。
小学校学習指導要領によると、日記は「書く力」を養うための活動例として挙げられています。また、小学校低学年における「書くことに関する事項」は以下のように説明されています。
・経験したことや想像したことなどから書くことを見付け,必要な事柄を集めたり確かめたりして,伝えたいことを明確にすること。
・自分の思いや考えが明確になるように,事柄の順序に沿って簡単な構成を考えること。
・語と語や文と文との続き方に注意しながら,内容のまとまりがわかるように書き表し方を工夫すること。
・文章を読み返す習慣を付けるとともに,間違いを正したり,語と語や文と文との続き方を確かめたりすること。
・文章に対する感想を伝え合い,自分の文章の内容や表現の良いところを見付けること。
学校で出る日記は、「題材の明確化」「伝えるための構成や表現方法、推敲」など、表現する技術の総合的なトレーニングといえそうです。
お子さんが学校で出された日記のサポートをする場合は、このような日記の狙いを意識するのがおすすめです。「とにかく何か書かなければ」と考えるよりも、お子さんの成長につながるような取り組みにしやすくなります。そして、より効率的に進めやすくなることも期待できるでしょう。
ここからは、お子さんが日記を書くときのコツを紹介します。
「何について書くか」について、思い出をひとつひとつ振り返りながら考えてみましょう。できれば、保護者が一緒に考えてあげてみてください。
夏休みなどであれば、撮った写真を見ながら「こんなことがあったね」と振り返るのもおすすめです。
もちろん、日記を書く直前に振り返るのではなく、何かイベントがあるごとに「これを日記に書いておこう」とメモしておくのも効果的です。毎日「今日の日記を書くとしたら何を書く?」と話して、こまめに振り返る習慣を作るのも良いでしょう。
あらたまって「日記のテーマを探そう」と考えるとなかなか浮かびにくいと感じるかもしれませんが、日記にしたいと思える題材は日常の中にも意外に多いものです。そのため、忘れないための工夫・思い出すための工夫が大切だということですね。
日記の題材が決まったら、その日のことをひとつひとつ振り返ってみましょう。
たとえば、「水族館にお出かけした」というエピソードでも、「朝起きた、電車に乗った、水族館についた、見学をした、お昼ご飯を食べた……」などたくさんのことが起こっているはずです。「○○があったね」と具体的に思い出しながら、丁寧に振り返ってみてください。
そして、その中で特に書きたいエピソードを選んでみてください。一日の流れをそのまま書こうとすると、「日記というより報告」と感じる内容になりがちです。1個~数個、思い出に残っているエピソードを選び、その内容をさらに詳しくしながら、日記の内容の中心にするのがおすすめです。
書き出したエピソードをより詳細にしていきます。特にお子さんが「何を考えたか」「何を感じたか」などがあれば、ぜひ聞いてみましょう。
このとき、無理に難しい内容を言わせようとしなくても大丈夫です。大人が「深いこと」と感じることを言わせようとすると、創作になってしまいます。お子さんによっては、それが原因で日記や作文嫌いになってしまうかもしれません。
内容を膨らませたいときには「ないものを作り出す」のではなく「『できごとや感想はあるけれど、表現ができていない』ものを掘り起こす」というイメージを持つと良いでしょう。
たとえば「箱根で黒たまごを食べておいしかった」というエピソードを考えてみてください。ただ「おいしかった」という感想だけだと、物足りないと感じるかもしれません。
しかし「たまごは好きではなかったが、旅先で食べるとおいしかった」と書いてみるとどうでしょうか。「『おいしかった』だけで表現できていない、ふだんと違う感想を付け加えた」ことで、より光景が相手に伝わる文になるでしょう。
また「もともとたまごが好きだったし、山の上の方まで登って疲れていたので4つも食べてしまった」という形であればどうでしょう。最初は書いていなかった情報を追加することで、こちらもより伝わりやすい文にすることができました。
お子さんの中に、お子さん自身では表現できていない「考えたことや感じたこと」「エピソードの詳細な情報」があることは多いものです。それを引き出してあげられると良いですね。
最初は保護者がサポートしてみてあげてください。試行錯誤しながら表現することで、お子さん自身が表現する力を鍛えていけるでしょう。
宿題の日記で悩まれたときは、まずは「表現する練習」と考えるのがおすすめです。そして、無理に創作したり言わせたりするのではなく、「お子さんの中にある記憶や感情や感想を丁寧に掘り起こし、文にする」ことを意識して、サポートしてあげられると良いでしょう。
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執筆者:杉本啓太
参考サイト:
【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説
【日記の書き方】小学生1・2年向け-日記が書けない子への教え方のコツ
小学生の日記のネタ出しはどうする?上手に書くコツと困ったときのアイデア
https://benesse.jp/kyouiku/202009/20200903-2.html
日記をうまく書けるようになるには?
https://hiroba.benesse.ne.jp/faq/show/10325?category_id=953&site_domain=manabi
宿題の日記が書けなくて時間がかかります[教えて!親野先生]