今も昔も、学校の宿題で定番の課題である読書感想文。この読書感想文を苦手だという子は多く、夏休みの宿題で「読書感想文が最後に残ってしまって…」という声もよく聞きます。
今回は、小学生が読書感想文を苦手に感じる理由と、読書感想文の基本的な構成を解説したあと、低学年・高学年のお子さんそれぞれにおすすめの書き方のコツを紹介します。
ちょっとしたアドバイスがきっかけで一気に書きやすくなる場合もありますので、ぜひ保護者が少しだけサポートしてあげてみてください。
お子さんが読書感想文を苦手だと感じる理由はさまざまありますが、そのひとつには読書感想文を書くために本を読まなければならないというプレッシャーがあるようです。
文部科学省の「国語力を身に付けるための読書活動の在り方」には、読書感想文について以下のように記載があります。
一律に,読書感想文を強制するなど子供たちに過度の負担を感じさせてしまうような指導では,子供たちが物語の中に入り込めず,読書を楽しむことができない。常に子供たちの状況を的確に把握し,意欲を出させるための取組が必要である。
読書感想文のせいで読書を楽しめなくなってしまうのであれば、元も子もありません。読書を楽しみながら、ストレスなく感想文も書けるのが一番ですね。
また、読書感想文が苦手だという子でも、実際はしっかりとした感想を持っていることは多いものです。「そもそも、読書感想文とは何を書くものかわからない」「どうやって書く内容を考えれば良いかわからない」など、書き方についての知識が足りず、書けていないだけの子もたくさんいるようです。
「自由に書いて大丈夫だよ」と言っても「どう書いて良いかわからない」となってしまうのが感想文の難しいところです。まずは、基本的な構成の例は知っておくと良いですね。
まずは、構成例として「本を選んだ理由・背景」「本の簡単な内容」「自分の感想」「まとめ」という4項目を意識しながら書いてみるのがおすすめです。
「本を選んだ理由・背景」は本を読む前の話です。本を読むことになった理由やきっかけについて書きましょう。中には「読書感想文を書けと言われたから」と言いたくなる子もいるかもしれませんが、そこはグッとこらえて「他の本よりもその本に興味を持った点」や「すすめてくれた人や、本を見つけた場所」などを書けると良いでしょう。
「本の簡単な内容」は、本のあらすじを簡単に書きます。あくまでお子さん自身の感想がメインですので、簡単にまとめることを心がけましょう。
「自分の感想」は、読書感想文の中で最も重要なパートです。全体についての感想でも良いですし、印象に残った特定のシーンや登場人物を取り上げて書くのも良いでしょう。
「まとめ」では、読書を通じて自分の考えたことを書きます。「登場人物の○○のように行動したい」「次は○○のような本を読みたい」といった形で、現実の世界での自分の行動と関連させて書くお子さんも多いですね。
もちろん、この構成を必ず守らなければいけない、というわけではありません。あえて順番を入れ替えて書くのも面白い方法ですし、文字の量を考えて省く項目もあるでしょう。あくまで、よくある形の一例、と考えてください。
ここからは、読書感想文を書くときの具体的なコツを紹介します。まずは低学年向けのコツです。
「基本的な構成」を確認していても、低学年のお子さんだと各項目を整理するのは難しいかもしれません。その場合は、保護者が一緒に話しながら確認してあげてください。
項目の抜けがないか、「あらすじが細かくて長すぎる」などバランスが悪くないか、などをチェックしてあげられると良いですね。
低学年のうちは、いろいろな人の価値観や考えを理解し、それぞれの気持ちを考えるのは難しい場合も多いでしょう。そのようなときは、まず登場人物のうちのひとりに絞り、その人物になりきって気持ちを考えてみるようにするのが良いかもしれません。
保護者が「○○くんがこの人だったらどうする?」といった声掛けをしながら、お子さんの考えを引き出してあげるのも良いですね。
次に、高学年向けのコツを紹介します。読む本も長くなり、書かなければいけない感想文もボリュームが増えてきて、大変だと思ってしまう子も多いかもしれません。そんなときは、以下のポイントに気を付けてみてください。
長い感想文を書くとなると、お子さんによっては感想文が「ほぼあらすじを書いただけ」となってしまう場合があります。このようなときは、書くポイントを絞って、それぞれを詳しく書いていくように意識してみると良いでしょう。
たとえば、印象に残ったシーンを1~2個挙げてもらいます。読みながら、印象に残ったシーンのページに付箋をつけていくのもおすすめです。
そして「なぜ印象に残ったか」「見たときにどう感じたか」「予想外だったか、予想どおりだったか」などそのシーンに関する内容に絞って、感想や考えを書き出してみましょう。
シーンを絞ることで本の主題からは離れてしまう場合はありますが、お子さん本人の感想を引き出し、形にしやすくなるでしょう。
「賛成か反対か」「共感できるかできないか」といった2択は、考えを引き出しやすい考え方のひとつです。特に、「感想が特にない」というお子さんの場合は試してみてください。
たとえば、「登場人物の中で共感できるのは誰だろう?」「一番仲良くなれなさそうなのは誰だろう?」というように考えてみるのも良いでしょう。
さらに、同じ登場人物についても「こういった部分は共感できる」「ただ、こういう部分は共感できない」と、肯定的・否定的の両方の感想がないか、考えてみるのがおすすめです。読書感想文の内容の充実につながりますし、お子さんが自分の考えを深めるきっかけにできるかもしれません。
読書感想文が苦手なお子さんは、何からして良いかわからず、完全に手が止まってしまうこともあります。ただ、書き方の型を知ったうえで、内容について保護者が質問を投げかけながら引き出してあげることで、ずっと書きやすくすることができます。慣れてくれば、お子さん自身で書く内容を検討する力がついてきて、保護者のサポートがなくても少しずつ自力で取り組めるようになるでしょう。ぜひ、恐れずにチャレンジしていきましょう。
また、こちらの記事では読書感想文をスムーズにすすめられるよう、本選びのアドバイスも掲載していますのでぜひ参考にしてみてください。
(ここに同時納品のNo.3「読書感想文の本選びのコツ」の記事リンクを入れてください。
文言はページタイトルと同様で問題ございません。例「スムーズに読書感想文を書くための本選びとは? 選ぶときのポイントを学年別に解説」)
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執筆者:杉本啓太
参考サイト:
文部科学省 国語力を身に付けるための読書活動の在り方
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301/008.htm
小学生の読書感想文がみるみる上手くなる!書き方のコツや課題図書などをレクチャー
読書感想文の書き方を小学生の子どもに教えるコツ!
https://manabi-with.shopro.co.jp/manabico/1192
読書感想文書き方特集
【小学生の読書感想文】感想を引き出す5つのコツと書き方
https://kosodatemap.gakken.jp/information/news/26174/
読書感想文ってどう書くの? 親子で取り組む読書感想文の書き方
https://style.ehonnavi.net/ehon/2018/07/26_162.html
国語力を身に付けるための読書活動の在り方
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301/008.htm