子どもがすぐに気が散ってしまい、なかなか宿題がはかどらないときなど、「もっと集中してくれればいいのに」と思うこともあるのではないでしょうか。そんなお悩みにお応えして、集中力を高めるために役立つ食べ物について、ご紹介していきましょう。
一つの物事に意識を向けて取り組むときに必要な「集中力」。集中力が高いと、短い時間で効率的に物事を処理していくことができます。
勉強やスポーツなど、子どもにも集中してさまざまなことに取り組んでもらいたいと思う保護者は多いことでしょう。
ただ、集中しているときの脳は多くのエネルギーを必要とします。発達途中の子どもは、まだまだそのエネルギーが不足しているため、すぐに集中力が途切れてしまいがちです。
集中力を発揮するには、十分な睡眠やバランスのよい食事が必須といわれています。
そこで、今回は食事に焦点を当て、集中力が高まりやすい食べ物についてまとめていきます。
集中力を高めるには、どのような栄養素が役立つのでしょうか。代表的な栄養素について、見ていきましょう。
脳を働かせるためのエネルギー源となるのが糖質です。糖質が不足すると、疲労感が増したり集中力が切れやすくなったりします。
体内に取り入れた糖質を、エネルギーとして活用させる役割をするのがビタミンB群です。ビタミンB群には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類があります。
ビタミンB群が不足すると、疲れやすくなったり認知機能が低下したりするといわれています。集中力を発揮させるためには欠かせない栄養素といえるでしょう。
鉄分が不足すると貧血になりやすいことがわかっています。貧血になると、思考力や体力が低下して、物事に取り組もうという元気を失ってしまいます。慢性的に倦怠感や頭痛を引き起こすこともあり、集中力を削ぐ原因となります。
健康成分としてよく知られている「ポリフェノール」を構成する成分の一つで、チョコレートやココアに含まれています。
認知機能を高め、ストレスを軽減する効果があります。
チロシンは、たんぱく質を構成するアミノ酸の一種で、記憶力や注意力などに関わる「ノルアドレナリン」という神経伝達物質の合成を助けています。
やる気を引き出したり、気持ちを安定させたりする効果もあり、集中力の発揮に大いに役立ちます。
青背の魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳を構成する脂質の一つです。理解力や判断力などの認知機能に大きく関わります。
脳や神経組織に多く含まれる成分で、記憶力や学習能力を高める効果があります。また、良質な睡眠にも役立つといわれています。
集中力を高める栄養素がわかったところで、具体的にどのような食べ物を子どもに食べさせたらよいのか見ていきましょう。
ラムネは脳のエネルギー源となる「ブドウ糖」が主原料のお菓子です。素早く脳にエネルギーを補給することができるため、宿題をする前などにちょっとつまんで食べておくのもよいでしょう。
バナナにはブドウ糖のほかに、でんぷんやショ糖が含まれています。でんぷんやショ糖は体内で分解されてからブドウ糖になります。
つまり、バナナは食べてすぐのエネルギーにもなり、少し時間がたってからのエネルギーにもなるという、とてもすぐれた食材なのです。
豚肉はビタミンB1が多く、集中力アップに大変効果的です。特にヒレとモモにはたくさんのビタミンB1が含まれています。
また、豚のレバーにはビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12など、その他多くのビタミンB群が豊富に含まれています。
モモやヒレなど見た目が赤く脂肪分の少ない肉の部位や、イワシ、カツオ、マグロ、ブリなど赤身の魚には、多くの鉄分が含まれています。イワシやブリと聞くと青魚というイメージを持つ方も多いですが、背や皮が青い魚を総称して青魚と呼び、種類としては赤身魚になります。
野菜の中で鉄分が豊富なのは小松菜です。少し意外かもしれませんが、小松菜はほうれん草よりも鉄分が多い野菜です。
動物性たんぱく質と一緒にとると、より吸収が高まります。
チョコレートの原料となる「カカオ」には豊富なフラバノールが含まれています。ビターチョコレートはカカオの含有量が多く、集中力アップに効果があるといわれています。さらに、脳のエネルギー源となる糖分が含まれているのもチョコレートのよいところです。
記憶力や注意力に関わるチロシンを多く含んでいるのがナッツ類です。中でもピーナッツ、カシューナッツ、アーモンドは、チロシンの含有量が多く、集中力を高めるのにおすすめの食べ物といえます。
サバ、イワシ、アジなど青背の魚には、DHAがたっぷり含まれています。脳の発達にも関わるため、子どものうちからたくさん摂取したい食べ物です。
記憶力や学習能力を向上させるレシチンは、卵と大豆製品に多く含まれています。卵レシチンは卵、大豆レシチンは納豆や豆腐などからとることができます。
子どもの集中力を高める栄養素と食べ物についてご紹介しました。
ただ、食事はバランスよく食べるのが基本です。「集中するために○○を食べさせよう」と考えるよりは、いろいろな食材の中に集中力を高める食べ物を含めていく、と考えるとよいのかもしれません。
集中力を高めるには、ワーキングメモリを鍛えることも有効です。子どもの集中力を考えたレッスン時間「ボロモードテクニック」を活用している「ことばパーク」をぜひご利用ください。
執筆者:五十嵐麻弥子
参考資料
1) 「集中力を高める身近な食べ物・飲み物11選!食事のコツと注意点とは」Medi Palette.
https://medipalette.lotte.co.jp/mental/886
2) 「集中力が増す食べ物とは?毎日の食事から手軽なおやつまでフィットする摂取方法を見つけよう!」いしど式.
https://www.ishido-soroban.com/matome/3630/
3) 「【必見】子供が変わる!集中力を高めるために意識したい食べ物4選023」今もハナマル!.
https://hanamaru-mom.com/child-concentration
4) 「お母さん必見!! ~子供の集中力をアップする,脳に良い食べ物は?~」Arrows日誌.
https://3arrows.jp.net/blog_detail?actual_object_id=714
5) 「赤身魚と白身魚の違い そして・・・青魚と赤魚とは??」魚食普及推進センター.