コラム
コラム
ことばパークの豊富なノウハウをコラムでおとどけ ことばパークの豊富なノウハウをコラムでおとどけ

記事詳細

小学校では、学年が進むごとに覚えなければならない漢字が増えていきます。漢字の勉強が苦手、覚えたつもりなのにすぐ忘れてしまう……といった悩みを抱える子どもも多いものです。どのようにしたらうまく覚えられるのか、小学生の漢字の覚え方のコツについて考えていきましょう。

漢字を覚えることが大切といわれる理由

小学校ではたくさんの漢字を習いますが、そもそもなぜ、漢字を覚えなければならないのでしょうか。

語彙力が高まる

漢字には意味があり、ひらがなやカタカナだけではうまく伝わらないものを表現することができます。漢字を覚えることは、漢字で構成された熟語を理解することにもなり、多くの語彙が身につくことへとつながっていきます。

読解力が身につく

漢字をたくさん覚えると、本を読んだり国語の問題を読んだりするときに必要な読解力が身につきます。

文章の中に出てくる漢字の意味を正確に理解することは、文章全体を正しく理解することに直結します。文章を読んだり書いたりすることに苦手意識がなくなるというメリットもあります。

国語をはじめ、さまざまな学習に役立つ

漢字への理解は、読解力が身について国語力が高まるだけではなく、他の教科の学習にも役立ちます。

算数では文章問題、社会では地域や法律などの名称や人物の名前、理科では物質や現象の名前など、あらゆるところで漢字が出てきます。漢字の意味が理解できないことが原因で、学習内容への理解が遅れるということも十分にあり得ます。そのうえでも、漢字を覚えることはとても大切なことといえるでしょう。

読み書きだけではなく話すときにも役立つ

多くの漢字を知っていると語彙力が高まり、人と話をするときにも役立ちます。相手の話に合わせて的確な言葉を使いこなせると、コミュニケーションも円滑に進んでいくでしょう。

漢字がなかなか覚えられないのはどうして?

漢字を覚えると多くのメリットがあるのはわかっていても、なかなか覚えられないということもあるでしょう。なぜ、子どもたちは、漢字を覚えるのに苦労してしまうのでしょうか。

覚えるときの3ステップ

漢字を覚えるというのは、「漢字の形や意味を記憶に定着させる」ということです。記憶の定着には、次の3ステップを経る必要があります。

1) 短期記憶

目や耳から入ってきた情報を、一時的に記憶している状態です。必要がなくなれば、すぐに消去されてしまいます。

2) 中期記憶

短期記憶の中から必要と思われる情報が中期記憶に残ります。中期記憶の内容は、少し長めに覚えていることができます。

3) 長期記憶

中期記憶が消えそうになったとき、再度同じ情報が入ってくると長期記憶に残り、しっかりと覚えることができます。

漢字が覚えられないのは長期記憶に入っていないから

漢字を覚えられないのは、覚えたはずの漢字が短期記憶や中期記憶に入って、そのうち消えてしまうからです。

つまり、きちんと長期記憶にとどまるような学習方法をすれば、漢字を忘れずに覚えておくことができるということなのです。

記憶のメカニズムを利用するなら、授業で覚えたあとに家庭学習で復習し、少し時間を置いてから再度同じ漢字を練習するという方法が効果的といえるでしょう。

くり返し書くだけでは覚えられない理由

漢字がなかなか覚えられないときは、同じ漢字を何度も書き取りするという勉強方法をイメージする人も多いかもしれません。

もちろん、覚えようと意識しながら書き取り練習をすればよいのですが、あまりに分量が多いと、中には作業を終わらせることが目的になってしまうケースもあります。

たとえば、「休」という漢字を20回ずつ書くという宿題が出たとき、ノートに部首の「イ」を縦に20個書き、その横に「木」を20個書いて宿題を仕上げるというようなことが起きてしまうのです。これでは、いつまでたっても漢字を覚えることはできません。

小学校低学年・中学年・高学年、それぞれの段階で効果的な漢字の覚え方

では、どのようにして漢字を覚えていけばよいのでしょうか。学年別に、効果的な学習方法をご紹介します。

小学1~2年生 五感を刺激しながら覚える

低学年の間は、楽しみながら漢字に慣れることを心がけましょう。

家で漢字の練習をするときは、漢字を声に出して読みながら書くと効果的です。漢字を目で見る、声に出して読む、その声を耳で聞く、実際に書くといったように、さまざまな感覚を刺激しながら学習していくのです。体の五感を刺激しながら学習することで、より記憶に残りやすくなります。

小学3~4年生 漢字の意味や成り立ちを考えさせる

この時期は、漢字の意味や成り立ちを理解させると効率的に漢字を覚えていくことができます。

たとえば、「さんずい」は水を意味する、「木へん」は木に関わるなど、部首に注目するのも一つの方法です。部首でグループ分けすると、覚えるのがぐっと楽になります。

また、「親」という字を分解して、親は子どものことを「木の上に立って見まもっている」と、漢字の成り立ちを考えながら覚えるのも効果的です。

小学5~6年生 熟語で覚える

高学年になると一つの漢字をくり返し書いて覚えるよりも、その漢字を使った熟語を覚える方が効果的です。たとえば、「圧」という漢字なら「圧力」「圧迫」「血圧」など、複数の熟語を書き出してみるのです。

覚えたい漢字を使った熟語を使って、自分で文を作ってみるのもよい方法です。

どの学年でも共通してできること

1) 子どもの好きなことと関連づける

マンガや本、趣味など、子どもの好きなものや興味のあることと関連づけて漢字を覚えるのはおすすめです。

マンガが好きなら主人公の名前やその友達の名前、登場する地域の名称などは、意外と難しい漢字が使われていることがあります。

他にも、鉄道が趣味なら「切符」「改札」「蒸気機関」など、鉄道にまつわるさまざまな漢字が覚えられるでしょう。

机に向かって勉強するだけではなく、日常の中で関わるものから覚えていくとよいでしょう。

2) 夜寝る前に漢字を覚える

漢字を覚える時間帯を意識してみるのもおすすめです。記憶は寝ている間に定着することがわかっています。夜、寝る前に漢字の練習をすると、より記憶に残りやすいといえるでしょう。

少しずつでも、毎日くり返し覚えるようにする

一度にたくさんの漢字を覚えようと思っても、なかなか覚えられないものです。また、一度覚えた漢字も、間があくと忘れてしまうこともあるでしょう。

少しずつでよいので、できるだけ毎日漢字に触れる学習習慣をつけることが大切です。

また、覚えた漢字は積極的に使っていくようにしましょう。家族間の連絡事項をホワイトボードに書いたり、カレンダーに予定を書き込んだり、漢字を書く機会を増やしていくことも重要です。

執筆者:五十嵐麻弥子

参考資料

1) 「漢字の覚え方にはコツがある! 覚えづらい原因と対策・勉強法8つ」ベネッセ教育情報.

https://benesse.jp/kyouiku/202103/20210331-1.html

2) 「漢字が覚えられない… 効率的な漢字の覚え方を伝授!」勉強・受験情報コラム-ワム研-.

https://www.k-wam.jp/wamken/41208

3) 「漢字の覚え方にはコツがある?小中学生でも出来てしまう2つの方法とは?」勉強応援団.

https://xn--u9jwg7dyfm49t3cd8zao40b.jp/ouendan/study/118

4)  「【学年別】小学生が漢字を覚えるための秘訣!確実に漢字が身につく3つの学習ポイント!」個別指導123.

https://kobetsu123.jp/fukushima/shogakusei-kanji