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知識の積み重ねが必要な「算数」は、学年が進んでいくごとに苦手意識を持つ子どもが増えていきます。早い段階で苦手意識を克服することは、中学生になって数学を学習するうえでもとても大切なことです。算数が苦手になる理由とその対策についてまとめていきます。

算数が苦手に感じてしまうのはなぜなのか

「算数が苦手」という小学生は、多いといわれています。なぜ、算数に苦手意識を持ってしまうのか、その理由から考えていきましょう。

抽象的な概念への理解が必要になる

数を扱う算数は、抽象的な概念への理解が必要になる教科です。1や2といった数字も、それぞれの数を表す抽象的な概念です。図形の面積や速さの計算などが、日常生活でどのように役立つのか子どもにはイメージしづらいというところもあるでしょう。

小学生の抽象的な思考能力は、まだまだ発達途中です。思考能力には個人差があり、その力が十分に育っていないと算数を理解するのが難しくなってしまいます。

理解不足のまま先に進んでしまう

算数は、土台となる知識を理解したうえで次の知識を積みあげていく教科です。土台の知識があやふやなまま進んでしまうと、次に進んだときに理解するのが難しくなってしまいます。

一度つまずくと、だんだん授業のペースに追いつけなくなり、算数が苦手になってしまうのです。

知識の定着に時間がかかる

一度説明を聞いて理解したつもりになっていても、実際に問題を解こうとするとできないということもよくあります。算数の知識を定着させるには、ある程度くり返し練習する必要があります。さまざまなパターンの問題を地道に解くことで、算数の力が身についていきます。

文章題の理解が難しい

算数の文章題は計算問題とは異なり、書いてある文章を理解し、聞かれている内容の本質をとらえる必要があります。

計算問題はスラスラ解けていたのに、文章題になった途端解けなくなるというケースは多いものです。

問題文の中から必要な情報を取り出して自分で計算式を立てるには、文章の読解力や論理的な思考力が必要です。読解力や論理的思考力が十分に育っていないと、文章題を解くのは難しいといえます。

発想力や思考力が必要になる

算数の問題を解いていくためには、さまざまな角度からその答えを考えていく必要があります。たとえば、図形問題では、同じ形の直角三角形を二つ合わせると長方形や正方形になるといった発想力が必要になります。

算数は、単に公式を暗記するだけではなく、物事のとらえ方を変えるという柔軟な思考力も必要になります。この力が育っていないことが原因で、算数が苦手になってしまうこともあります。

算数に対する苦手意識克服に役立つ3つの力と具体的な対処方法

では、算数に対する苦手意識を克服するために身につけるとよい力と、具体的にどのように対処したらよいのか、ご紹介していきましょう。

●身につけるとよい力

(1) 計算力

計算力は算数の基礎的な力です。計算力がないと、計算ミスをしたり、暗算ができずになかなか答えが出せなかったりします。

計算力を身につけるためには、ドリルなどで反復練習をするのがよいでしょう。できるだけ簡単に解けるものから始め、まずは正確に解くことを目標にしましょう。くり返し計算問題を解いていると「5と5で10」「25と25で50」のように、まとまりの数が感覚的に身につき、計算も速くなっていきます。

(2) 論理的思考力

文章題を読んで何をしたらよいのかがわからないのは、問われている内容を順序立てて考える「論理的思考力」が身についていないからです。

算数で必要な論理的思考力を身につけるには、さまざまなパターンの文章題を解いて、順序を追って考えるトレーニングを積むことが大切です。

また、筋道を立てて考えていくときに効果的なのは、問題文を声に出して読むことです。声に出すと、問われている内容がはっきりするからです。

自宅で勉強するときには、声を出して読んでみるのもよいでしょう。

(3) 空間把握能力

算数の図形問題では、「空間把握能力」が必要になります。頭の中で図形を想像して、さまざまな方向から形を把握する能力です。

空間把握能力を育てるには、ブロックや積み木遊びが効果的といわれています。また、折り紙や立体パズルなども、空間把握能力を育てるのに役立ちます。

● 具体的な対処方法

つまずいたところを見つける

子どもが解いた問題を一緒に見直して、どこでつまずいたのかを見つけるようにしましょう。

文章題の場合は、解いていった過程を子どもに説明してもらうのも一つの方法です。また、文章題のわからなかったところを図に描いて説明すると、子どももイメージしやすいものです。

日常生活の中で算数に親しむ

算数が苦手な子どもは、数の概念が十分に育っていないこともあります。数の概念を育てていくために、日常生活の中で算数に親しむ工夫をしてみてはいかがでしょうか。

家ではケーキやピザを同じ大きさに切り分ける、料理のときに計量カップや大さじ、小さじで分量を量るなどしてみます。

また、買い物に行ったときには、割引商品の価格を計算する、かごに入った品物の合計金額を計算するなどしてみるとよいでしょう。

保護者と楽しく話をしながら取り組むことで、算数へのマイナスイメージを減らす効果もあるはずです。

補習塾で見てもらう

仕事などで忙しく、子どもの勉強を見る余裕がないという場合は、補習塾を利用してもよいでしょう。

塾の先生は、算数が苦手な子どもの指導に慣れています。子どもの学習レベルに合わせた丁寧な指導をしてくれるはずです。

学年別に見た算数の勉強方法の工夫

学年ごとの勉強方法についても、まとめておきましょう。

小学1~2年生

低学年では、数のくり上がり、くり下がり、ひっ算などがつまずきのポイントとなります。

抽象的な概念への理解が難しい子どもも多い年齢なので、数図ブロックなどの道具を使って、数や計算を具体的にイメージできるようにするとよいでしょう。

2年生になると九九が始まりますが、九九の暗唱は1年生のときから始めてもかまいません。意味はわからなくても、言葉として覚えておくとそれだけでも学習効果があります。

小学3~4年生

小数、割り算、円と球、面積などが登場してきます。内容が少し複雑になるため、取りこぼしのないよう気をつけておきたい時期といえます。

日常生活の工夫で紹介したように、ケーキの取り分けや割引商品の値段計算などを利用して、抽象的なものがイメージできる練習をしていきましょう。

コンパスや分度器を使うようになるので、その使い方をマスターすることも大切です。

小学5~6年生

比例と反比例、速さ、平均、多角形、体積などを学習するようになります。

また、小数、分数の計算がより複雑になり、つまずく子どもが増えてきます。場合によっては、4年生までに習ったところをよく見直す必要もあるでしょう。

新しい概念は、くり返し問題を解いて知識をしっかり定着させる必要があります。6年生になったら中学校の数学に向けて、わからないところがないよう学習しておくことが大切です。

算数の知識の定着には、ワーキングメモリに働きかけることが大切です。算数の学習が気になるときは、ワーキングメモリを活用して学習を進める「ことばパーク」をぜひご活用ください。

執筆者:五十嵐麻弥子

参考資料

1) 「算数が苦手な小学生が不足している3つの力を紹介!身につける方法も解説」伸びナビ.

https://www.wa-juku.co.jp/media/not_good_math_elementary

2) 「算数が苦手な子が多いのはなぜ?嫌いな理由や苦手克服のための勉強法まで徹底解説!」学び通信.

https://tsushin.manabitimes.jp/122

3) 「「算数が苦手になる原因」とは?子どものつまずきポイントを確認しよう【前編】」こども教育総合研究所.

https://kids.athuman.com/cecoe/articles/000162

4) 「「算数が苦手になる原因」とは?子どものつまずきポイントを確認しよう【後編】」こども教育総合研究所.

https://kids.athuman.com/cecoe/articles/000163

5)  「【新学年に向けて】学年別の勉強法・つまづきポイントをご紹介します!」家庭教師のアルファ.

https://alpha-katekyo.jp/news/%E3%80%90%E6%96%B0%E5%AD%A6%E5%B9%B4%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%A6%E3%80%91%E5%AD%A6%E5%B9%B4%E5%88%A5%E3%81%AE%E5%8B%89%E5%BC%B7%E6%B3%95%E3%83%BB%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%81%A5%E3%81%8D%E3%83%9D