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子どもに通知表を渡されると、成績の良し悪しで一喜一憂してしまうことが多いかもしれません。ただ、「よくできる」の数を数えただけではあまり意味はありません。通知表の評価にはどのような意味があるのか、また、子どもにどのような声かけをしたらよいのかご紹介します。

2020年度「学習指導要領」の変更に伴って通知表も変わった

小学校の通知表は、「学習指導要領」をもとにして評価が行われます。この学習指導要領が、2020年に新しく改訂されました。

改訂される以前の通知表では、「興味・関心」「思考・判断」「技能」「知識」という、4つの観点をもとに、それぞれの分野について細かい評価がされていました。

新しい学習指導要領では、4つあった評価の項目が、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つになりました。それぞれについて説明していきましょう。

(1) 「知識・技能」

学習内容を理解しているかどうか、基礎的な知識や技能が身についているかどうかという観点です。

たとえば、知識なら漢字の読み書きが正しくできる、計算問題を間違わずに解ける、技能ならきれいな姿勢で跳び箱が跳べる、絵の具の筆を正しく使えるといったことになります。

(2) 「思考・判断・表現」

一つの課題についてよく考え、課題提出や発表することが評価の対象となります。「知識・技能」を基礎と考えると、「思考・判断・表現」は応用というイメージです。

国語の教科書を読んで主人公の気持ちを考える、社会で町のお店を調べて共通点をまとめる、体育のときボールをどこに投げればパスが通るか判断する、理科で観察記録を発表するといったことなどです。

(3) 「主体的に学習に取り組む態度」

自ら積極的に学習に取り組む姿勢が評価されます。文部科学省の通知では、「粘り強く物事に取り組む」「学習を調整しようとする態度」を評価することとされています。

くり返し計算問題を解く、試行錯誤しながら図工の作品を仕上げるといったことが、粘り強く取り組むことに当たるでしょう。

また、学習の調整は、単元の最初に学習することの見通しを立てたり、単元の最後に学習の振り返りをしたりすることを指します。

学校の先生は、成績をどうやってつけている?

上記の観点をもとに、学校の先生はどのようにして成績をつけているのでしょうか。

三段階評価が基本

現在、多くの小学校では基本的に三段階評価を行っています。表し方としては、次のようなものがあります。

・「大変よくできました」「よくできました」「もう少しがんばりましょう」

・「よくできる」「できる」「もう少し」

・「A」「B」「C」

テストの成績を中心に評価する

テストの成績でいうと、9割以上できていれば「大変よくできました」、6割~9割で「よくできました」、6割未満は「もう少しがんばりましょう」という評価になることが多いようです。

体育・音楽・図工・家庭科などの実技科目は、普段の授業の様子や技術が習得できているかどうか、また、作品の仕上がりなどが評価されることになります。作品の良し悪しなどは、どうしても先生の主観が入るため、評価が分かれる可能性はあるようです。

相対評価から絶対評価へ

以前はクラスの人数を三段階に振り分ける「相対評価」が行われていましたが、現在は一人一人の成績を評価する「絶対評価」が行われています。

相対評価では、子どものがんばりが正しく評価されないといった問題などもあり、一人一人の成長を評価する絶対評価へと変わっていきました。

学年全体のバランスをとることも

ただ、実際には純粋な絶対評価は難しいという側面もあるようです。

先生の考え方によって、あるクラスでは「大変よくできました」がほとんどなのに、他のクラスでは5,6人しかいないということが起きたとき、先生の指導力に差があるのではないか、うちの担任の先生にはまかせられない、といった保護者からの声が出てくることもあるといいます。

学年全体のバランスをとるため、相対評価を加えた絶対評価となることも多いようです。

まずは、子どもががんばってきたことをほめる

成績の良し悪しを見て、喜んだり子どもを叱ったりするだけでは子どもの成長につながらないものです。通知表を見て、どのように子どもに声かけをしたらよいのでしょうか。

子どものがんばりをほめる

よくできていたところに注目して、まずは子どものがんばりをほめてあげましょう。ただ単に成績がよいところをほめるのではなく、どのようにがんばってきたのかを具体的にほめるのがポイントです。

たとえば、テストの前にドリルをくり返し解いていた、作品を作るためにいろいろな準備をしていたなどの「過程」を評価すると、子どもはさらにやる気が出てくるはずです。

「見せてくれてありがとう」の声かけをする

保護者に通知表を見せる前に、子どもも自分で通知表を見ているはずです。成績が思わしくなかったときには、見せたくないと思うこともあるでしょう。

保護者に叱られるかもしれない、と思って見せている子ども気持ちを想像し、通知表を見せてくれたことに感謝しましょう。

「叱られるかも」と思っているところに予想通りガミガミ叱られるより、「見せてくれてありがとう」と言われた方が、「次はがんばろう」という気持ちになるはずです。

子どもの困りごとに気づくきっかけにする

成績がよくなかったときは、子どもの困りごとや苦手を確認するよい機会となります。

たとえば、算数の成績がよくなかった場合は、計算の仕方がわからない、文章題が理解しづらいなどの困りごとを抱えているかもしれません。長い休みに入る前に、困っているところや苦手なところを確認し、休みの間にフォローすることができるでしょう。

休みの間にわからなかったところが理解できれば、子どもも自信を持って次の学期を迎えることができるはずです。

「所見欄」をよく読む

先生が子どもについて書いている「所見欄」もよく読むようにしましょう。所見欄には、子どもが学校でどのようにがんばっているのかが書かれています。家では見せないような子どもの姿を知ることもできます。勉強だけではなく、子どもの普段の様子にも関心を持ちたくさんほめてあげるとよいでしょう。

通知表には相対的な評価も加味されていることを踏まえ、「良い」「悪い」だけで判断しないことが大切です。通知表をきっかけに、子どもとコミュニケーションをとり、苦手の克服やモチベーションアップにつなげていけるとよいでしょう。

ことばパークでは、お子さまの聞く・話す・読む力を育てる指導を行っています。通知表の成績を見て気になることがあれば、ことばパークをぜひご活用ください。

執筆者:五十嵐麻弥子

参考資料

1) 「【最新情報】小学校の通知表が変わった!どう変わった?どこを見ればいい?」塾屋.

https://jyukuya.jp/howtoget/tsuuchihyou

2)「【通知表の裏事情】学習の様子 3つの観点の正しい見方を分かりやすく説明」はぐれ教師のわるあがき.

https://curious-learning.com/learning-assessment-3point

3) 「【最新版】小学校の通知表のつけ方、評価の仕方はどうなってるの?」ソクラテスのたまご.

https://soctama.jp/column/58082

4) 「【元小学校教員が教える通知表の読み解き方】大切なのは「よくできる」の数ではないってホント!?」Hugkum.

https://hugkum.sho.jp/389853