日々成長していく子どもと過ごすのは楽しい一方で、言うことを聞いてくれなくて困ってしまうということもよくあるものです。子どもはなぜ、保護者の言うことを聞かないのでしょうか。今回は小学生の子どもが言うことを聞かない理由や、適切な保護者の対処方法について、ご紹介していきましょう。
子どもが言うことを聞いてくれないとき、子どもの中ではどのようなことが起きているのでしょうか。その理由について考えてみましょう。
子どもが何か他のことに気をとられているときに話しかけると、そもそも話を聞いていないということが起こります。
保護者は思い立ったときに何気なく話しかけてしまいがちですが、子どもの様子を思い返してみると、タイミングがよくなかったということもあるはずです。
「勉強しなさい」「早く片付けなさい」などの声かけは、子どもにとってネガティブな内容です。保護者の言うことを聞いて楽しい思いができればすぐ取り組めますが、楽しくないことにはなかなか反応しづらいでしょう。
子どもによっては、やり方がわからないから言うことが聞けないということもあります。
たとえば、低学年では「宿題をやりなさい」と言われたとき、宿題への取り組み方がわかっていないケースがあります。何から始めたらよいのかがわからず、動き出すことができない状態なのかもしれません。
発達の段階や子どもの特性によっては、具体的に言わないとうまく理解できないことがあります。大人が何気なく言う「いい加減にしなさい」「きちんとしなさい」などは、かなり抽象的な表現です。
子どもは「いい加減とはどのくらいなのか」「何をどのようにきちんとすればよいのか」などが理解できないため、言うことを聞けないという可能性もあります。
小学校中学年から高学年になると、自分の判断でやってみたいことも増えてきます。今は別のことをしたいのに、一方的にそれ以外のことを言われると不愉快に感じて、言うことを聞きたくなくなってしまうのです。
保護者よりも友達との関係が深まってくると、周囲との関係性の中で自分の行動を選ぶようになってきます。友達との約束があるのに「出かける前に宿題を済ませなさい」などと言われると、「宿題なんかしていたら間に合わない」と思うものです。遊びから帰ってきてからやればよいと思い、言うことを聞かずに出かけてしまうこともあるでしょう。
子どもが言うことを聞かないときには、どのように接したらよいのでしょうか。
話しかけるタイミング、伝え方、伝える内容など、何か言うことを聞けない理由があるのではないかと考えてみると、対処法が見えてくることもあるでしょう。言うことを聞かないからといってイライラしてばかりいると、状況はなかなか変わっていきません。
それぞれの理由について、より具体的に見ていきましょう。
子どもに声をかけるときには、タイミングを計ることも大切です。
ゲームをしているときやマンガを読んでいるときなどは、話しかけても耳に入っていかないものです。また、学校から帰ってきて疲れているときや眠いとき、体調がすぐれないときも避けた方がよいでしょう。
抽象的な言い方では伝わらないことがあるため、できるだけ具体的に伝えることも大切です。
「ちゃんとしなさい」というところは「帰ってきたらランドセルを片付けよう」「おやつの前に手を洗ってうがいをしよう」など、一つ一つ具体的に話すことが大切です。
また、早口でまくしたてたりせかしたりすると、子どもは焦ってしまい、話を正確に聞き取れないこともあります。子どもにわかるよう、ゆっくり落ち着いたトーンで話すことも大切です。
子どもの様子を見ながら、理解しやすいように伝えることを心がけましょう。
子どもになら何を言ってもいいというわけではありません。言われたくないことを言われてカチンとくることもあるし、高圧的に言われて反発することもあるでしょう。「こう言われたらどう思うだろう」と、子どもの気持ちを想像しながら話すことも大切です。
友達とトラブルがあって機嫌が悪い、先生に叱られて元気が出ないといった状況では、保護者の言うことが耳に入らないこともあるでしょう。子どもの様子のちょっとした変化は、普段からコミュニケーションが取れていれば、なんとなくわかるものです。
何か困ったことや悩み事があるとき、子どもがすぐに相談できる雰囲気作りをしておくことも大切です。
子どもが言うことを聞かないとき、保護者が避けた方がよい対応について見ていきましょう。
子どもが言うことを聞かないと、ついイライラしてしまうものです。ただ、理由も聞かず一方的に怒るのはよくありません。
怒られることで子どもはますます反発して、さらに言うことを聞かなくなる可能性が高まります。また、心身の調子がすぐれないときに怒られると、子どもは深く傷ついてしまいます。
イライラした状態で子どもとうまく接することができないなら、保護者がその場をいったん離れ、お互いに気持ちが落ち着いたときに話をしてみてはいかがでしょうか。
子どもの事情を考慮することなく高圧的に指示すると、子どもはますます言うことを聞かなくなります。
子どもが未熟なのは確かですが、子どもも人格を持った一人の人間です。「子どもは大人の言うことを聞くのが当たり前」と思わず、誠意を持って向き合うことも大切です。
明らかに子どもの言動に問題があるときは、その場で簡潔に叱るようにしましょう。以前のことを持ち出して責めたり、長々と叱り続けたりするのはよくありません。
子どもが言うことを聞かないと悩んでいるときは、保護者の接し方に問題がないか考えることも大切です。保護者が接し方を変えるだけで、子どもが素直に話を聞くこともあります。
大人同士の場合、声をかけてよいかどうか確かめてから話しかけるなど、気を遣うのではないでしょうか。子どもだからいつでも話しかけてよいと考えず、子どもの状況を考えながら、こちらの希望をうまく伝えるように心がけると解決することもあるものです。
また、話の内容を聞き取れていない、正確に理解できていないという場合は、お子さまのワーキングメモリが関係していることもあります。そのようなときは、ワーキングメモリを鍛えることのできることばパークをぜひご活用ください。
執筆者:五十嵐麻弥子
参考資料
1) 「子どもが言うことを聞かない4つの理由と小学生が素直に話を聞く親の接し方とは」ソクラテスのたまご.
https://soctama.jp/column/81090
2) 「子どもが言うことを聞かない!その原因は親の行動にあるかも?」ベネッセ教育情報.
https://benesse.jp/kosodate/202008/20200826-5.html
3) 言うことを聞かない子どもにしてしまう5大原因…効果アリな3つの対処法を解説【教えて保育士さん】
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/19604
4) 「子供が言うことを聞かない理由3選|正しい叱り方と対処法」まなびち.