わが子と同じくらいの年齢の子どもがひらがなの読み書きをしていると、焦ってしまうという保護者もいるのではないでしょうか。ひらがなを練習し始める時期と、子どもがひらがなをマスターしていくうえで心がけておきたいことについてまとめます。
実際のところ、子どもは何歳ごろからひらがなを読んだり書いたりできるようになるのでしょうか。
学研教育総合研究所の調査(※)によると、ひらがなを読めるのは4歳で46%、5歳で67.3%、6歳で78.8%となっています。一方、ひらがなを書けるのは、4歳で18.8%、5歳で43.5%、6歳で60.8%となっています。これを見ると、就学が近づくころには多くの子どもがひらがなを読めることがわかります。
ただ、子どもがひらがなに興味・関心を持っているかどうかなど個人差もあるため、必ずしも早い時期から読んだり書いたりできなければならないというわけではありません。
※学研教育総合研究所 幼児の日常生活・学習に関する調査
https://www.gakken.jp/kyouikusouken/whitepaper/k202209/chapter8/04.html
上記の調査結果を見ると、ひらがなは「読めるようになってから書けるようになる」のが一般的と言えそうです。では、子どもはどのようにしてひらがなを読めるようになるのでしょうか。
2歳ごろからは言葉の理解が進むため、おもちゃや絵本などを通してひらがなへ関心を持つ子どもも出てきます。3~4歳になると、保育園や幼稚園などの集団生活に入り、遊びの中でひらがなに接する機会が増えていきます。5~6歳になると、小学校入学を控えてひらがなを読めるようにしておきたいと考える家庭が多くなるようです。
ひらがなを読めるようになると、子どもは書くことにも興味を持つようになります。早いと3歳ごろから書ける子どももいますが、手先が器用になってくる4歳ごろから書き始めることが多いようです。
年齢が上がるごとに文字への関心も高まり、子どもは目で見た文字を実際に書いてみたいと思うようになります。文字を見ながら書くには、目から入った情報を記憶して手を動かすという動作が必要になります。それができるようになるには、ある程度脳の発達と手先の器用さが必要になるのです。お手本を見ないで書くとなると、さらに難しくなるでしょう。読むことよりも書くことの方が難しいのは、そのためです。
そろそろ子どもにひらがなを覚えてほしいと思ったとき、どのように練習を始めたらよいのでしょうか。
子どもがひらがなに興味を持っていないうちは、練習をさせようとしてもなかなかうまくいかないものです。年齢にこだわらず、子どもがひらがなに興味を持ったときが、練習を始めるタイミングといえます。
ひらがなに興味を持てるようになるには、日常生活の中でひらがなを意識する機会を増やすことが大切です。たとえば、散歩をしているときにひらがなの看板を見つけたら「○○って書いてあるよ」と教えたり、スーパーの野菜売り場のPOPを見て「にんじんだね」などと言ってみたりするとよいでしょう。
最初から机に向かって勉強するよりも、ごく自然にひらがなへの興味を持てるようになるはずです。
前述の通り、ひらがなを書けるようになるには、まず読めるようになることが大切です。「とにかく書けるように」と焦って練習を始めても、読めていないと単なる記号の羅列になってしまいます。書く練習を始める前には、ひらがなが読めることと、ひらがなをつなげた単語の意味を理解することが必要です。
年少の子どもはものを握る力が弱いため、鉛筆を扱うのがまだ難しいことがあります。ある程度手先の器用さが育っていないと、ひらがなの直線や曲線をうまく書くことができません。鉛筆がうまく使えずひらがなの練習が嫌になってしまっては、元も子もありません。
まずはお絵描きの延長で、クレヨンなど書きやすいものでひらがなを書いてみてもよいでしょう。また、クレヨンから色鉛筆へ持ち替え、さらに鉛筆を使うなど段階的に筆記用具を使い分けていくのも一つの方法です。
ひらがなを覚えていくうえで、遊びを取り入れるのも効果的です。どのような遊びがひらがなの練習に役立つのでしょうか。
ひらがなに興味を持つには「言葉は楽しい」という経験をすることも大切です。しりとりやなぞなぞは、ひらがなに興味を持つきっかけとなる楽しい言葉遊びです。
事前に何か用意する必要がなく、保育園や幼稚園の帰り道や、家事をしながらなど、いつでもどこでも子どもと遊ぶことができます。楽しみながら語彙も増え、ひらがなを学ぶうえではおすすめの遊びです。
絵と文字がセットになっているかるたも、ひらがなを覚えるのに効果的な遊びです。何度もくり返し遊ぶうちに、絵と文字がつながり自然とひらがなが読めるようになっていきます。慣れてきたら、子どもに読み札を読んでもらうとさらによいでしょう。
絵本もひらがな学習に大きな効果があります。まずは読み聞かせをして、言葉の意味を理解していくようにしましょう。同じ絵本を何度か読んでいると、子どもは絵本の内容を覚えてくるので、今度は一緒に文字を追いながら読んでいきます。保護者と一緒に絵本を楽しむ中で、子どもはどんどんひらがなの知識を吸収していくはずです。
日常生活や遊びの中でひらがなへの興味が高まってきたら、少しずつあいうえお表やドリルなどを使って練習していきましょう。
その際、「1日○ページは終わらせる」「間違えたらやり直し」など、無理やり練習させることは避けましょう。また、間違いを叱ったり、できないからとがっかりしたりするのもよくありません。
ひらがなの練習を始めたばかりで、うまくできないのは当たり前です。無理強いをしてひらがなの練習が嫌いになってしまわないよう気をつけましょう。
子どものペースを尊重しながら、少しずつひらがなを練習していくことが大切です。
執筆者:フリーライター/不登校支援カウンセラー 五十嵐麻弥子
参考資料
1) 「ひらがなの練習は何歳から?どうやって教えるべき?親子で楽しく学ぶポイントを解説します」ママソレ.
https://mama.chintaistyle.jp/article/hiragana-training
2) 「ひらがなはいつから読んだり書いたりできるようになる?~読み書きの目安やNG行動を紹介~」ベビーパーク.
https://www.babypark.jp/column/when-will-child-be-able-to-read-and-write-hiragana
3) 「ひらがなは何歳から?年齢ごとの理解度、発達障害との関係も【医師監修】」りたりこ.
https://h-navi.jp/column/article/35029696
4) 「ひらがなが読めるのは何歳から?ひらがなの練習に役立つものを紹介」学習プリント.com.